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2024.04.02

埼玉医科大学国際医療センター 各務 博教授によるTh7R細胞のがん免疫機能に関する研究発表のお知らせ

当社科学顧問を務める埼玉医科大学国際医療センターの各務博教授が、4月に米国San Diegoで開催されるAmerican Association for Cancer Research (AACR) Annual Meeting 2024にて、がん免疫におけるTh7R細胞の作用及び臨床上のTh7R細胞測定の重要性に関する研究成果を発表いたしますので、お知らせいたします。

各務先生は、Cancer Research誌において、がん患者さんで免疫チェックポイント阻害剤治療を受けた際の生存期間が、患者さんの血中に存在する特定のCD4 T細胞のクラスター、すなわち細胞の集まりとどのように関連しているかを報告しました。この研究により、がんに対する防御機能を持つこの特定の細胞クラスターは「Th7R細胞」と命名されました。

今回、各務先生は、AACR Annual Meeting 2024のAdaptive Immunity in Tumors(がんにおける獲得免疫)のセッションにおいて、
A CCR6+Th1-like CD4+T-cell cluster involved in HEV formation predicted lung cancer patients requiring anti-CTLA-4 therapy
(日本語訳:HEV形成に関わるCCR6+のTh1様のCD4+ T細胞クラスターにより、抗CTLA-4治療を必要とする患者を予測できた)
というタイトルで発表されます。要旨は下記Webページでご覧いただけます。
https://www.abstractsonline.com/pp8/#!/20272/presentation/798

各務先生らは、肺がん患者の末梢血中リンパ球、がん浸潤リンパ球、リンパ節リンパ球に対して、質量分析フローサイトメトリーやシングルセル遺伝子発現解析などの手法によって、Th7R細胞の特徴を詳細に調べました。その結果、Th7Rは、従来がん免疫への関与が推測されたこともあるTh1細胞とは異なる遺伝子を発現しており、高内皮細静脈/3次リンパ組織様構造を形成してがん免疫を維持している可能性が考えられました。また臨床上、Th7R細胞の存在割合を調べることにより、抗CTLA-4抗体の投与が必要な患者の選定ができることを明らかにしました。

[補足]
当社は、Th7R細胞の臨床上の利用に関して埼玉医科大学が出願した特許の独占実施権を取得して、診断薬開発や創薬に応用する取り組みを行っております。今回の発表により、Th7R細胞ががん免疫に確かに働いていることが明らかになったことから、Th7R細胞測定の意義が益々高まり、Th7R細胞による細胞治療も含めて、Th7R細胞に注目したがんの免疫治療における個別化医療を推進できると考えております。

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