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2026.03.31

がん免疫を支える司令塔細胞を解明       ―埼玉医科大学、Nature姉妹誌に発表―

埼玉医科大学国際医療センターの各務博教授らの研究グループは、がん免疫に重要な役割を果たす新たな免疫細胞群「Th7R細胞」が、がんを攻撃し続ける仕組みに関与していることを明らかにした。研究成果は「Nature Communications」に掲載された。


https://www.nature.com/articles/s41467-026-71161-0

研究グループはこれまで、がん患者の血液中に存在する特定のCD4陽性T細胞の集団を「Th7R細胞」と名付け、患者の生存期間と相関することを報告してきた。今回の研究では、このTh7R細胞が腫瘍組織において「Tpex細胞」と呼ばれる疲弊T細胞の前駆細胞と連携し、抗腫瘍免疫を持続させる中核的な役割を果たしていることを示した。


論文タイトルは「The CD4+ T cell population partners with Tpex CD8+ T cells to mediate antitumor immunity in the tumor microenvironment」。肺がん患者の腫瘍組織、血液、リンパ節の解析(一部腎細胞がん患者由来)を通じて、Th7R細胞が腫瘍微小環境内でTpex細胞の維持を支え、免疫応答を持続させる「司令塔」のような働きを担っていることが分かった。
さらにマウス実験では、Th7R細胞を投与することで腫瘍微小環境内のTpex細胞が増加し、抗腫瘍効果が強まることを確認した。これにより、腫瘍組織に形成される三次リンパ様構造(TLS)においてTh7R細胞が免疫応答を支えている仕組みが示唆された。


本研究は、2024年の米国がん学会(AACR)で報告された抗CTLA-4療法の効果予測に関する研究成果を発展させたもの。術前に投与する免疫チェックポイント阻害剤の効果判定や、患者ごとの最適な治療選択につながる可能性がある。


[補足]当社は、Th7R細胞の臨床上の利用に関して埼玉医科大学が出願した特許の独占実施権を取得しており、診断薬開発や創薬に応用する取り組みを行っております。今回の発表により、Th7R細胞が「がんを攻撃し続けるためのパートナー」として不可欠であることが証明されたことから、Th7R細胞の測定やTh7R細胞を用いた治療の意義がより一層高まり、個別化医療の推進に大きく貢献できると考えております。

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